※日当たりが心配な時にはシュミレーションしてみましょう

陽当たりが心配という場合

土地捜しの段階から家づくりのご相談をいただいているお客様から良くいただく質問のひとつは日当たり。

「周辺エリアの環境も良いし、予算内で納まりそうだし”この土地イイナ!”って思うんだけど、どうも日当たりが良くない気がして心配なんです。」

というご相談はよくいただく事があります。

同じ広さなら、南向きで周辺も建て込んでいない土地が好ましいのは間違いないのですが、希望のエリアや様々な条件が必ずあって、そういう土地と巡り合える場合の方が珍しいのが現実ですね。
そういった場合の設計での工夫の一例を過去の設計実績をもとにご紹介します。

 

 

 

シュミレーションしてみたら

2015年完成の「陽まわりの家」さん。
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こちらの住まいは、道路を挟んで東側に7階建てのマンションがあり、南には大きな2階建ての総二階。西側にも家が建て込んでいる状況で、十分な陽射しを取り込むことが厳しい立地条件でした。
建て替えで元々同じ場所に建っていた家は、一日中ほとんど陽が入らず、暗くジメジメしていたそうです。
↓既存の写真
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下の写真は完成して午前9時ごろのものです。東から若干陽射しが入りますが、この後、完全にマンションの陰に入ります。
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陽まわりの家の建て主さまは、ハウズにご相談に来られる前の工務店さんでは南面の吹き抜けからの採光を薦められていたようですが、南面の隣家の高さや距離をふまえてシュミレーションした結果では、南面からはそれほどの採光は期待できませんでした。
さらに、この地域は準防火地域に指定されていて、窓は防火設備という種類の特殊な物にする必要があり、むやみに窓を増やすとコストが非常にかさむという問題がありました。

天窓をお薦め

そこでこのケースでは北側屋根に天窓を2か所設け、吹き抜けと階段スペースから光を落とし込んで住まい全体をを明るくしています。
天窓には防火設備の規定が適用されませんし、何といってもとても明るくなるというメリットがあります。
天窓は計算上は外壁に垂直に設けた窓の3倍の採光効果があるとみなされます。
実際の体感としても穏やかな明るさを確保できます。(ただし天窓を設ける屋根の勾配方向は要注意です。特に南や北面に天窓をうっかり設けると暑くて仕方が無い!場合もあります)
また、敷地が広くない場合の道路や隣家に面した大きな窓は外からのプライバシー確保の問題も発生します。
道路近くに設けた大きな南側の窓が、結局一日中カーテンが閉めっぱなし、という状況にならないように配慮が必要なのですが、その点も天窓は優利です。
今回南面にはベランダや庇を大きく跳ねだして、視線を遮っています。
その他、防火袖壁を設けて延焼の恐れを防いだり細かな工夫で、「コスト」と「明るさ」、「プライバシーの確保」のバランスをとりました。
実際の設計には、Vectorworksという3DCADの日影シュミレーションを使い、陰の様子を確認しながらの設計でした。
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天窓から穏やかな光

実際に住まわれた建て主さまからは「以前の住まいと同じ場所とは思えない快適さです」とうれしい感想をいただいております。
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「陽まわりの家|ダイニング」天窓から吹き抜けを通って穏やかな光が落ちてきます。
「陽まわりの家|その他の完成写真」
「陽まわりの家|BLOG記事」

まとめ

もちろん、この方法がどの土地の環境でもベストな方法だという訳ではありません。
天窓では無く、吹き抜けやハイサイドライトとよばれる高所窓、中庭を取る、あえて南側にこだわらず北側から採光する、などなどケースバイケースで考える必要があります。
土地の広さや、周辺の建て込み状況、建て主様のライフスタイルなど様々な条件に応じてベストは違います。
希望の土地の陽当たりや、建て替えで現在の住まいの陽当たりの悪さに悩んでいらっしゃる方はぜひご相談ください。

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